⑯ 2010年06月03日撮影
③
火砕流の後大雨が降り谷間に落ち川に流され流木となっただ
もちろん大木だったが流される間に、大小の岩にぶつかったり、削られたりで小さくなってしまった
石の間にはさまり何百年も身動きが取れなくなったときは本当に辛かっただ
そして海にたどり着き、浜辺の砂の中に埋もれたり海に漂いプカプカ浮いたり沈んだりを何回も繰り返した
ある日、浜辺で人間に拾われ、他の流木と一緒に一つの形に組み合わされてしまった
とても肌が合わなくギクシャクし不快な思いがしただ
そしてある日、人間の背負った袋の中に閉じ込められこの山に連れてこられただ
その人間は小さい黒い箱を取り出しこちらに向け「カシャッカシャッ」っと音をたてていただ
そこで逢った森の仙人は昔、近隣に立っていた古木たちの合体だった
おらの、この身体もその昔、楽しく話をしていた森の仲間だった事を思い出した
仙人も、おらも、ひとつの身体でありながらこの森で育った仲間たちだっただ
おらー、ほんとうに長い旅路を経て戻っただ